過去最悪の「人手不足関連」倒産
東京商工リサーチによると2020年1〜7月、人手不足を理由にした倒産は285件(前年同期比25.0%増)で調査開始以来で最多であったとのこと。
新型コロナウィルス拡大の影響もあって、5月からは従業員不足を理由にした倒産は減少しているようですが、「後継者難」や優秀な「従業員の退職」、「人件費高騰」などでの倒産数は依然高い水準を保っているようです。
現在のような不測の事態が起きた時に会社を守り、伸ばしていくことの出来る組織に共通するのは、社員がその会社の方向性を理解し、与えられた仕事を主体的に遂行しているということです。
どれだけ高い給与を払って優秀な人材を採用しても、あるいは、高額かつ長時間の研修を施しても定着して経営者と同じビジョンを見つめていなければ意味がないどころか、お金と時間の「無駄な投資」となってしまいます。
そこで大事になってくるのが自社に合う人を定義し、そのような人が自社に興味を持ってくれ、入社、定着する仕組み作りです。
「中小企業だから」「ブランドがないから」採用できないのではありません。
自社に合う社員の定義が出来ていないから「いい社員」が採用出来ないのです。
地域・規模・業種を問わず、人が集まる会社にはその理由があります。
母集団形成から新入社員の定着、活躍、それを実現する制度作りまで、理想的な組織づくりのためのポイントを押さえ、戦略的に対策しておけば、必ず強い組織作りは成功します。
人材開発と組織開発は違う
研修や人材育成コーチングはとても重要ですが、人材開発と組織開発は違います。
どれだけ強いプレイヤーが揃っていても、各々が自分勝手な動きをしていては目標の達成は出来ません。
経営者のビジョンを実現するには組織開発の考え方が重要です。
かといって人事部の創設が出来るほどの規模の会社はそう多くはありません。
しかし、人事部がなくても人事戦略のポイントを押さえて計画的に人と組織を活性化させることで驚くほど組織の生産性は向上するものです。
人が辞めてから行き当たりばったりで欠員補充をしているようでは、そのうち組織は疲弊し、次世代リーダーが育たず、結果的に後継者不足に見舞われることは想像に難くありません。
経営者のビジョンを実現するために必要な組織を逆算で考え、ムリ・ムラ・ムダを最小限に抑えて理想の組織を作り、その会社の提供する価値を最速で最大化していかなければなりません。
そのためには組織づくりの入り口となる採用の質の向上が不可欠です。
コロナで先が見えない今こそ採用のチャンス
Withコロナの今、主体的に未来を描ける人が、より活躍出来る場を求めて動き始めています。
先述の東京商工リサーチによると数的な「人手不足」関連倒産は、3カ月連続で前年同月を下回っており、これは2年5か月ぶりだとのことです。
久しぶりに求人倍率が下がり、企業に有利な労働市場になりつつあります。
今こそ採用のチャンスです。
そしてもう一つ大事なことは、この先が見えない今、転職をして新たな一歩を踏み出そうとする人には優秀層が含まれている可能性が高いということです。
一方で社会や組織の動きについてけずに離脱を余儀なくされる人もいるでしょう。
解雇や、内定取り消し、雇い止めなど様々な背景がある中で、今後、これまででは考えられなかった数の面接応募者が現れることが予測されます。
しかし、面接のような相手が「よそ行きの顔」をしている場で自社で活躍できる人を「見抜く」のは至難の技です。
・安定的に給与をもらいながら、楽な仕事だけをしていたいと思っている人なのか?
・あるいは、成長や社会貢献を果たしながら結果として高い報酬を手にしたいと思っているの人なのか?
後者のような、もっと言えば、会社の理念に共感し、成果を出せる人を面接会場に引き寄せるのが採用ホームページの役割です。
会社に求める人の定義が出来ると、数は少ないけれど、入社して欲しい候補者の割合が増え、面接が非常に楽になります。
不毛な面接を振り返して時間と労力を割いた結果、誰も入社しないのは、もしかしたら、有効な採用ホームページがないからかも知れません。
募集広告を出す前に採用ホームページを!
何か気になる商品を広告で見つけた後、現代のほとんどの人はそれが本当にいいものかインターネットで調べます。
そして、その情報を総合的に判断して「やはり買いたい」と思ったら購入へ向けたアクションを取ります。
ハローワークであっても各種求人媒体であっても、求職者は必ず興味を持った会社のホームページをチェックします。
しかし、多くの会社のホームページには採用ホームページがなかったり、あっても募集要項を載せているだけです。
これでは、給与や休みの労働条件や自宅からの近さでの勝負になってしまいます。
そもそも、情報が出ていない時点で怪しい会社でるとのレッテルを貼られてしまうかも知れません。
しかし、採用ホームページに組織の想いや方向性を、読む人にとって魅力的な形で表現することが出来ていれば、それに共感する人が応募してきます。
しかし、何でも書けばいいというものではありません。
何を、どのような順番で、どのように書くかを間違うと、相手に響かないどころか、場合によっては望まない人にばかり共感される結果になりかねません。
募集広告記事に多くのお金を使っても成果が出なかった会社さんが、採用ホームページを整えてみた結果、数少ない面接でピンポイントでいい採用が出来るようになったと喜ばれています。
採用ホームページに書くべきこと
採用ホームページに書くべきは会社の魅力ではありません。
会社に属することによって得られる体験や未来予測です。
マグネット採用では人が働く心理的な報酬をSERACHという6つのフレームワークで整理しています。
それはその会社に属することによって得られる以下の6つの喜びです。
S;Stability(安定・安心・堅実性・福利厚生・自分の時間)
E;Excitement;(ワクワク・創造・挑戦・変化・自由)
A;Achievement(達成・成長・探究心・専門技術)
R;Recognition(承認・出世・評価・成果・憧れ)
C;Contribution(貢献・奉仕・社会性・顧客の笑顔・環境)
H;Human(仲間・チームワーク・家族・コミュニケーション)
これを社長の目線だけではなく、これから採用したい人に近い属性の社員さんにヒアリングしてみてください。
そこにはあなたの会社で働くリアルな喜びが言語化されていることでしょう。
また、まず最初にS(会社に属する安心感)の記述をすることをお勧めしています。
就職するというのは、一時の感情で決めることではありません。
生活という長く続く時間の流れを支える仕事に求めるのはまずは安心感です。
その上で、上記のEARCHの項目を経営者の大事にしている順番で書くといいのです。
是非、会社の社風に会う人を集めるために採用ホームページの構築に取り掛かってみてください。
コロナウィルスへの対応ができた新しい社会でロケットスタートが切れる組織が出来るはずです