採用難の時代、優秀な人材を獲得する鍵とは?
近年、多くの企業が深刻な採用難に直面しています。
厚生労働省の調査によると、2023年卒の大学生の就職内定率は95.8%と、依然として高水準を維持しています。
企業は、優秀な人材を獲得するために、給与や福利厚生などの待遇面だけでなく、企業理念やビジョン、社風といったソフト面の魅力をアピールする必要性に迫られています。
その中でも、「経営理念」 は、企業の存在意義や価値観、目指す未来を体現するものであり、求職者にとって企業を選ぶ上で重要な判断基準の一つとなっています。
魅力的な経営理念は、求職者からの共感を生み出し、企業へのエンゲージメントを高め、ひいては採用力の向上に繋がるのです。
なぜ経営理念が採用に重要なのか?
経営理念は、企業のアイデンティティを明確にするだけでなく、求職者に対するメッセージとしての役割も担っています。
求職者は、企業のウェブサイトや求人情報などを通して、経営理念に触れることで、その企業がどのような価値観を重視し、どのような未来を目指しているのかを理解しようとします。
そして、自らの価値観と合致する企業に魅力を感じ、入社を希望するようになるのです。
特に、ミレニアル世代やZ世代といった若い世代は、仕事を通して社会に貢献したい、自分の成長を実感したい、職場内の良好な人間界関係を重視したい といった価値観を持つ傾向が強く、これらのニーズに応えられるような経営理念を掲げる企業は、採用において有利に働くと言えます。
採用力を高める経営理念の作り方
では、採用力を高めるためには、どのような点に注意して経営理念を作れば良いのでしょうか?
具体的なポイントは以下の通りです。
1)経営者の想いを反映する
経営理念は、単なるお題目ではなく、経営者の価値観を表現することが重要です。
特に中小企業の場合、社長が身近に感じられるため、経営理念に掲げられたことと社長の行動が一致していないことには理念が「絵に描いた餅」になってしまいます。
どれだけ崇高な理念を掲げて採用したとしても、それが単なる美辞麗句であっては意味がありません。
経営者が仕事をする上で、譲れない想いや実現したい理想の社会を言葉にしましょう。
2)具体的で分かりやすい言葉で表現する
抽象的な言葉や専門用語を避け、誰にでも理解できる分かりやすい言葉で表現しましょう。
求職者が、経営理念を理解し、共感するためには、シンプルで明快なメッセージであることが重要です。
組織が何を目指し、何を、どのように成し遂げていくのかが誤解なく伝わりやすくしましょう。
これをビジョン(組織がどのような社会を創造したいのか)、ミッション(商品やサービスを通じてやっていることの本質)、バリュー(どんな考え方や行動で仕事をすす流のか)に分解するとより伝わりやすくなります。
3)行動指針となるように具体化する
経営理念は、単なるスローガンではなく、社内の行動指針となるように具体化することが重要です。
例えば、「顧客第一主義」を掲げるのであれば、「お客様の声を常に聞き、理解し、最高のサービスを提供する」といった具体的な行動指針を設けることで、従業員一人ひとりが、理念を意識した行動を取れるようになります。
これがバリューになりますが、日本語の意味だけではなく、経営者の言葉の定義が伝わるバリューに仕上げましょう。
先ほどの例であれば、「お客様の声を常に聞き、理解」するとはどういったことなのかが曖昧であると、社員の模範的な行動が定義できません。
4)社内外に発信する
せっかく作った経営理念も、社内外に発信しなければ意味がありません。
自社のウェブサイトや求人情報、パンフレットなどに掲載するだけでなく、SNSなどを活用して積極的に発信することで、求職者の目に触れる機会を増やし、企業の認知度向上に繋げましょう。
経営理念の言語化
経営理念を効果的に伝えるためには、「言語化」 が重要です。
言語化とは、抽象的な概念を具体的な言葉で表現することです。
経営理念を言語化する際には、以下の3つのポイントを意識しましょう。
1)「なぜ」を明確にする
なぜその事業を行うのか、なぜその価値観を重視するのか、といった「なぜ」を明確にすることで、理念に深みと説得力が生まれます。
2)「誰に」向けたメッセージなのかを明確にする
顧客、従業員、社会など、「誰に」向けたメッセージなのかを明確にすることで、より共感を得やすくなります。
3)ストーリーで伝える
創業のエピソードや、理念に込められた想いなどをストーリーで伝えることで、求職者の心に響くメッセージになります。
まとめ
採用難の時代において、経営理念は、企業の魅力を伝える上で欠かせない要素 となっています。
本コラムで紹介したポイントを参考に、自社の強みや価値観を反映した魅力的な経営理念を作成し、優秀な人材を獲得しましょう。
私たちも、経営理念の策定サポートをしておりますのでお気軽にご相談ください。
参考文献
- 厚生労働省「大学等卒業者の就職内定状況調査」
- リクルートワークス研究所「採用トレンド調査」
ギャブリッジパートナーズ株式会社
代表取締役 松尾誓志